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が岸へあげたころに

「穴は船首にあいてるからさ。岸へひきあげるときに、水をだしてしまいたいからね。水がはいったままじゃ、馬の大群でも動かせないだろう」
「そうか。それは考えつかなかった」
 トスは杖を置くと肩にかけている毛布をはずして、川の中へ歩き出した。
 エリオンドがチュニックを脱ぎはじめた。
「どこへ行くつもり、あなたは?」ポルガラがたずねた。
「船荷をおろすのを手伝うんですよ、ポルガラ」かれは熱っぽく答えた。「ぼくはすごく泳ぐのがうまいんです。なんども練習しましたからね、でしょう?」それだけ言うと、エリオンドもばしゃばしゃ川にはいっていった。
「どういう意味かよくわかりdermes 投訴ませんでしたわ」ヴェルヴェットが打ち明けて言った。
 ポルガラはうらめしげな吐息をもらした。「小さいころ、エリオンドはダーニクとわたしと一緒に〈谷〉で暮らしていたのよ。近くに川があって、かれは定期的にそこへ落ちてたの」
「まあ、それでですのね」
「ようし」ベルガラスがきびきびと言った。「あの穴をふさぐのに板が必要になるだろう。半マイルばかり上流で、小屋の前を通ったな。引き返して、あの小屋を解体しよう」
 浸水したはしけをダーニクは、とっぷりと日が暮れていた。このときだけは、自然が協力してくれて、その夜はひょうを降らせる嵐もなかった。かれらはあかりを提供するために、岸で火をたき、鍛冶屋とトスとエリオンドが仕事にとりかかった。
 シルクはうなだれてはしけのまわりを一周した。「やっぱりおれのだ」とためいきをもらした。
「装備の整ったはしけを持っているんだな、シルク」慎重に板を測りながらダーニクが言った。「このはしけには船首にあってほしいと思うものが全部そろってる――釘だろう、タールの樽だろう、それによくきれるのこぎりまであ牛奶敏感る。朝までに浮かせられるよ」
「認めてくれてうれしいよ」シルクはにがにがしげに言ってしかめっつらをし、不平をこぼした。「どう考えても不自然だ」
「どうしたの、ケルダー?」ヴェルヴェットがたずねた。
「普通、舟がほしいと、おれは盗む。自分の舟のひとつを使うのが、なんだか不道徳に思えるのさ」
 ヴェルヴェットは陽気に笑ってかれの頬をたたいた。「お気の毒だこと。そんなに良心がとがめるんじゃさぞ気分が重いでしょうね」
 するとポルガラが言った。「さ、おじょうさんたち。夕食の支度をしましょう」
 ダーニク、トス、エリオンドたちが穴の継ぎあてに精をだし、ポルガラ、セ・ネドラ、ヴェルヴェットの三人が夕食の支度をしているあいだ、ガリオンたちはもっと板をとってきて、粗末なオールをこしらえはじめた。食べるあいだもかれらは仕事の手を休めなかった。ガリオンにはなんとなくすべてがしっくりくるように卓悅假貨思えた。友だちみんながかれのまわりにいて、みんながみんな忙しかった。舟の修繕はきわめて大事なことだったが、それにかかわる単純な雑用はほとんど通俗的といってもよく、このところ切迫した状況で事にあたらざるをえなかったガリオンは、めずらしくゆったりした気分で手近な仕事に没頭することができた。それは心安らぐ経験だった。
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